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「ホモ・デウス」 著:ユヴァル・ノア・ハラリ

今回は「サピエンス全史」で有名なユヴァル・ノア・ハラリ氏の「ホモ・デウス」を読みました。単純明快かつ論理的に人間の武器は”虚構”であると結論づけた「サピエンス全史」を読んで以来、私のすっかり著者のファンです笑なんとなく感じていたものを見事に言語化していることに感動を覚えました。

ということで「ホモ・デウス」の感想とまとめです。

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「ホモ・デウス」 著:ユヴァル・ノア・ハラリ

★一行要約

テクノロジーの発展により、人類は不死と至福を手に入れ、ホモ・デウス(神)へとアップグレードするだろう。

 

21世紀の三大プロジェクトは①不死・②永続的な快楽・③神へのアップグレードである。正確には、①と②を追い求めることが③へと繋がる。

このプロジェクトに人間の傲慢さと愚かさを感じ不快感を覚える人も多いことだろう。しかし、我々にそのブレーキを踏むことはできない。なぜなら、資本主義は発展を前提としていること、そしてブレーキがどこにあるかも分からないからだ。

著者は”治療とアップグレードの間に、明確な境界線はない”という。先進国の止まらない高齢化が示しているように、医療技術はどんどん発展している。人類は延命化、健康寿命の増加の末に不死という神の側面に辿り着くのだろうか。

21世紀はアルゴリズムに支配される。アルゴリズムとは、計算をし、問題を解決し、決定に至るために利用できる、一連の秩序だったステップのことをいう。アルゴリズムのおかげで、個体差に頼ることをせず規定と手順に従ってさえいればシステムによって社会を管理することができる。

宗教は秩序に関心があり、科学は力に関心がある。よって両者は相性が良い。科学は物事を変化させる力を持つが、それをどんな理由で、どの方向に、どれだけ使えばいいかを決定することはできない。現代社会は人間至上主義という宗教を持ち、それを実行するために科学を利用する。

人には自由意志があることを前提とし、それが大事であると教えこんできた。しかし、21世紀の新しいテクノロジーは、人間から権威を剥ぎ取り、人間ではないアルゴリズムに権限を与えるかもしれない。そうなった時、我々人類は巨大なグローバルネットワークの不可分の構成要素となる。いつの日か人類は何もせずとも生命を維持できるようになるだろう。しかし人は何もせず過ごすことはできない。アルゴリズムの外側で、それが劣るものだとしても各々が好きなことをしていく世界になるのだろうか。

”私たちは21世紀にはこれまでのどんな時代にも見られなかったほど強力な虚構と全体主義的な宗教を生み出すだろう。そうした宗教はバイオテクノロジーとコンピュータアルゴリズムの助けを借り、私たちの生活を絶え間なく支配するだけでなく、私たちの体や脳や心を形作ったり、天国も地獄も備わったバーチャル世界をそっくり創造したりすることもできるようになるだろう。したがって、虚構と現実、宗教と科学を区別するのはいよいよ難しくなるが、その能力はかつてないほど重要になる”(引用)